1959年、ウィスコンシンの大学に通い始めた頃、ベースの勉強をあきらめ、専攻である社会学に専念した。それでも学校の休みを見つけてはヒントン家を訪ねた。ミルトや彼の仲間が話してくれる歴史に、おおいに興味を持ったからだ。ペリー・ブラドフォードがマミー・スミス、ユービー・ブレークやティン・パン・アレイの思い出を懐かしく語り、ディジー・ガレスピーは社会学者シー・ライトの著作について討論し、イリノイ・ジャケットが人種関係問題を議論した。
ミルトに会って間もない頃、地下室の壁中に無造作に貼ってある、溢れるほどの写真のネガが気になった私は、それらの写真について質問しながら、名前や日付けなどの情報をメモしていった。また、どこでも可能な限り、撮影した当時の記憶を思い出してもらいできるだけ詳細に記録していった。
1970年代の中頃、国際基金による「アート・ジャズ・オーラル・ヒストリー・プロジェクト」の一環でミルトに口述歴史を語ってもらい、録音したら、すぐに出版のアイディアがひらめいた。ミルトの豊富な体験談、それと奥深く、感性豊かな写真を組合わせばすばらしい本が出来ない訳がないと。
「ベースラインーミルト・ヒントンの写真と物語」は私たちの最初の本となった。テンプル・ユニバーシティ・プレスから1988年に発刊されたこの本はジャズ・タイム・マガジンのジャズ・ブック・オブ・ザ・イヤーに選ばれる。


